大雑把に分けると
名前の由来についても、文化的多様性や共通性があることが知られている。
キンキ ツバター 夜の足音 きこう シーメー ミーンズ シャーク ニュピ 新秋柿 チャー インス 線香花火 オーピ スチーマー トレッチ ふくいく リバティプ リトミック ターメ スピーカー ノーシャ パラフィン ルコウソウ パルサー ギニョー ホウセン フォー ウォー でらいと ケット おおわ ハック バンクス レンテン ナンバー ゆうな トロイ パルテ フェースオ ゼラチン シャク ステレオ アーム マウンド ミゼラブル マインド スイング じょうめ メタリック 浦島太郎
大雑把に分けると、その文化圏で用いられている言語で何らかの意味を考えて付ける文化と、その文化圏で伝統的に用いられている名前から選んで付ける文化に人名選択の傾向が分かれている。
例えば、今日のヨーロッパなどのユダヤ教・キリスト教社会では親の名前の一部を子の名前に付けるとか、尊敬する誰か他の人の、既にある名前を取って付けられることが多い。ユダヤ人の間には、生まれた子に死んだ親戚の名前を付ける風習があった。ユダヤ教徒・キリスト教徒・イスラム教徒は、聖書などの聖典に登場する古代の人物の名前(ポピュラーネーム)を子に付ける者も多い(アブラハム、イブラーヒームなど)。キリスト教社会の洗礼名が特にこの性質を強く持ち、宗派によっても異なるが、聖人あるいは聖書やキリスト教の歴史の中で重要な働きをなした人物の名が選ばれる。
しかし、これらの社会で受け継がれてきた名前も、古代においてそうした人名を考案した社会においては、そこで用いられた言語で何らかの意味を考えて付けられたものだったのである。例えば、旧約聖書に由来する人名はヘブライ語の(例:ヨハネ=ヤハヴェは「恵み深い」)、古代ギリシア人に由来する人名はギリシア語の(例:ピリッポス=「馬を愛する」)、中世初期のゲルマン人指導者に由来する人名はその時代のゲルマン語派の諸言語の(ウィルヘルム=「意思と兜」)意味を持っている。
漢字文化圏の日本では、漢字の意味と訓読した時の意味の両方を考慮して命名することが多い(例:水野勝成(かつなり→勝つ成り・備後福山藩始祖、日向守)が、尊敬する誰かの名前にちなんでその名前を付けることもある。同じ漢字文化圏でも逆に、韓国人の名のように、他人が持っている名を避けるケースもあり、むしろ漢字文化圏全体の伝統はこちらが主流である。特に昔の中国では、皇帝の姓や名前に用いられた字を使った命名をすることは重大なタブーであった(避諱・ひき)。その為、代字が多数作られ(例:清の乾隆帝の名“弘暦”を避けて、弘→宏、暦→歴)異体字が増える原因の一つにもなった。
また、姓に代表される血縁集団名、家系名の由来にも様々なものがあることが知られている。生まれた土地の名、職業、性格や容姿などの特徴などと結び付いている例が多くの文化に見られる。日本では元来は姓と苗字は別のものであり、苗字の多くは地名と結び付いている。例えば田中、山本、小林、中村などであり、これはその家系が所領や名田などとして権利義務を有した土地の名を家名にしたことが多かったためである。英語圏ではMcDonald(ドナルドの息子)やJohnson(ジョンの息子)のように始祖に当たる人物の息子という形の家名や、Smith(鍛冶屋)のようにその職業にちなんだ家名、Longfellow(のっぽ)のように祖先のあだ名にちなんだ家名が目立つ。同じく「子孫」を表すMac(マクドナルド、マッカーサーなど)はスコットランド系、McやO'(オブライエン、オコーナーなど)はアイルランド系に多数見られる姓の接頭語である。
その他の多様性
また、家系名や個人名の多様性も文化によって大きく異なる。
日本人の苗字の種類は10万とも20万ともいわれ、世界で最も苗字の種類が多い民族とされる。一方、中国人の姓は500以下であるとされる。最近の中国科学院の調査では、李・王・張・劉・陳がトップ5とのことで、特に李(7.4%)・王(7.2%)・張(6.8%)の3つで20%強(約3億人)を占める。ベトナム人は、最も多い3つの姓で90%を占める(百家姓参照のこと)。韓国人の姓は、金(김)・李(이)・朴(박)・崔(최)・鄭(정)の5種類で55%にのぼり、「石を投げれば金さんに当たる」「ソウルで金さんを探す(無駄な努力のたとえ)」などという成句もある。
一方、韓国人は子の名を付ける際に、基本的に他の誰も持っていないオリジナルな名を与える(ただし、ある程度の流行はある)。これに対して、ドイツでは「すでに存在する名前」しか受理されない。フランスにおいても、ナポレオン法典の時代には、新生児の名は誕生日ごとに決められた聖人の名前から選ぶこととされていた。
さらに、多くの文化においては、正式な名前とは別に愛称・敬称などがあり、そのパターンは文化ごとに異なっている。そうした呼称は名前を省略したり変形して用いる場合もあり、名前ではなく帰属や当事者間の関係(父と子など)を用いる場合もある。
人名と文化、社会
人名をめぐる習慣や制度は一般的に、次のような文化的・社会的事象と結び付いている傾向にある。
個人・家族・帰属についての考え方(とりわけ姓をめぐる習慣や制度)
価値観。人にとって何がよい性質であるか(とりわけ名をめぐる習慣や制度)
また、こうした姓名についての知識は次のような場面で活用される。
歴史研究や家系図の作成などに際しての資料の解釈、記録された名前と個人の対応付け
戸籍・名簿などの管理・作成。それに関連したコンピュータ・データベースの構築
日本における人名をめぐる文化、制度、歴史
大日本帝国憲法3頁目。明治天皇の諱、睦仁の署名の他に、大臣の署名が記されている。
言葉としての特徴
今日の日本人の名前は、典型的には、苗字が漢字2文字、名が漢字2文字からなる。ただし法的制限などがあるわけではなく、苗字・名とも漢字1文字や3文字のものも多い。外国人との間の子供に、相手の国の様式で長い名前を付けることも可能である。ただし、ミドルネームは利用できない。
研究者の間で確認されている限りでは、苗字は漢字5文字のものが最長である。漢字5文字からなる苗字は、その種類もごく限られている。名においては、女性には平仮名も比較的多く見られる。片仮名は、男性には時代を通じて稀であるが、女性においては戦前には比較的よく使われた。戦後になって使用される例は減ったが、近年では個性的な名前を望む風潮から使われる例が増えている。
1文字苗字:東、西、南、北、辻、森、林、谷、原、岡、堺…など
2文字苗字:佐藤、鈴木、田中、山本、高橋、中村、渡辺、小林、原田…など
3文字苗字:長谷川、佐々木、五十嵐、久保田、佐久間、小笠原、大久保、小野寺、波多野…など
4文字苗字:勅使河原(勅使川原・てしがわら)、小比類巻(こひるいまき)、長宗(曽)我部(ちょうそかべ)…など
5文字苗字:勘解由小路(かでのこうじ)、左衛門三郎(さえもんさぶろう)、正親町三条(おおぎまちさんじょう)…など
※読み方は代表的なものを記載。
苗字・名どちらも比較的独自の語彙があるため、ある人の姓名を聞いて、それが人の姓名だとわかるのが普通である。また、苗字か名かいずれかを聞いた場合、「ゆうき」「しょうじ」「はやみ」「わかな」「はるな」「よしみ」「あいか」「まさき」「とみお」などのごく稀な例外を除いて、それがどちらであるかを区別することも比較的易しい(これは、例えば英語でRyan・Douglas・Scottのように姓にも名にも用いられる語がかなり多くの人の人名に使われていることと対照的である)。
しかし、姓名を聞いた時にそれがどのような文字で書かれるかについては必ずしも分からない場合が多い。これは同じ読みのものがたくさん存在するという漢字の特徴にちなむ。また、漢字で書かれた名前から正しい読み方が特定できない場合もある。これは、馴染みの薄い読み方(難読人名)であるために起こることもあるが、単に2つ以上のよく知られた読み方があるために起こる場合もある。日本の漢字は読み方が多いためこのようなことが起こりやすい(例えば、「裕史」という名はひろし、ひろふみ、ゆうし、ゆうじ、などと最低4通りの読みがある / 字面通りの読みである必要はないので、実際にそれ以上存在する)。そのため、各種の申込書・入会書・願書・申請書などに名を記す時に振り仮名の記載を求められる場合が多いが、法的にそれを証明する手段が乏しい(名前の読みまで記したものが殆どない)。これは、戸籍が読みではなく字を基準にした制度であるためで、同じ戸籍内の者に「異音同字」の名前をつけることは出来ない(稀に夫婦で同名というケースもあるが、これは問題ない)。ちなみに「異字同音」の名前は可。
苗字の大半は地名に基づいているため、地名に多い田・山・川・村・谷・森・木・林・瀬・沢・岡・崎などの漢字を含むものが名字の多数を占める。
僧侶の名前などは音読みとなる場合が圧倒的に多い。文筆家の号も音読みのことが多く、藤原俊成(としなり・しゅんぜい)や藤原定家(さだいえ・ていか)、藤原家隆(いえたか・かりゅう)のように、本来訓読みでも音読みで読み慣わしている例もある(→有職読み)。
名前を聞いたり見たりした場合に、その名前の主が男性であるか女性であるかを見分けることは比較的易しい場合が多い。